Museum02/クーパー・ヒューイットスミソニアン・デザインミュージアム/ニューヨーク(アメリカ)

※こちらの記事は2017年に本美術館に来訪した際に書いた内容を加筆・修正したものです。ご訪問の際は最新の情報をご確認ください。

こんにちは、綾野です。

ジュエリーが展示されている世界の美術館/博物館をご紹介する“World Jewelry Quest”、第二回はニューヨークにありますクーパー・ヒューイットスミソニアン・デザインミュージアム(長い！以下勝手にCHSDM)を取り上げます。

先ブログのメトロポリタン美術館からすぐ近くにあり、リッチな個人の邸宅を改装した外観も素敵なミュージアム。応用美術・デザインに特化しており、古代の織物から現代の家具に至るまで、30世紀にわたる215,000点以上のプロダクトを管理しています。

アール・デコジュエリーに陶酔

私が来訪した2017年には1920年代に大西洋を超えて欧州・アメリカで流行した装飾スタイル“アール・デコ”にフォーカスした展示（THE JAZZ AGE : AMERICAN STYLE IN THE 1920S）が行われていました。第一次世界大戦後の好景気に沸くアメリカは“ジャズ・エイジ”や“狂騒の20年”とも言われ、ラグジュアリー品の需要が大いに盛り上がりました。映画でいうとまさに『グレート・ギャツビー』の世界。景気のいいところにいいジュエリーはあり、でございます。

アール・デコ期に作られたジュエリーの特徴を端的に表せば、直線的・幾何学模様(ジオメトリック)・黒(オニキスやカルセドニー)の多用です。

またトゥッティ・フルッティ(砂糖漬けにされた果物の意)とよばれるルビーやエメラルドのカーブド・カボションや、プラチナにダイヤモンドと白一色で統一した眩いホワイト・カーペット、エジプシャンスタイルもこの時代によくみられます。

Compact | Objects | Collection of Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

Necklace | Objects | Collection of Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

Bracelet, Egyptian | Objects | Collection of Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

私の推しはこのヴァンクリーフ作のプリュム(羽)ですね。金属と石から成っているとは思えない軽やかさ。端的にいって欲しいです、鳩の羽のように落ちてきたりしませんかね。

Plume | Objects | Collection of Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

ヴァニティ・ケースという夢

アール・デコと言われて忘れてはならないのが、ヴァニティ・ケース(Vanity Case)やシガレットケースといった小物入れの類であります。時のセレブがパーティにてリップや手鏡、タバコなどの小物を持ち運ぶためのもので、カルティエ、ヴァンクリーフ＆アーペル、ラクロッシュフレール、ブシュロン、ブルガリなどヨーロッパとアメリカの一流宝飾店が、エナメルや象嵌などのテクニックを競う合うかのように作りました。