The Journey Log of a Jeweler

ひとりのジュエラーによる世界ジュエリー紀行” みて つくって 恋をして "

Random Note02/【ジュエリーを贈るなら】恋のはじまりにはネックレス、愛のはじまりにはリング、命のはじまりにはピアス

こんにちは、綾野です。

ジュエリーについて、そしてジュエリーを通して考えた人生についてのいろいろを書き残していくRandom Notes。今回はジュエリーをパートナーに贈るならどのアイテムがいいのか、恋愛の進行段階別に私のおすすめをご提案してみたいと思います。特別な方への贈り物がよりロマンチックになるお手伝いができますと幸いです。

パートナーシップの段階によってプレゼントとして最適なジュエリーは変わる

パートナーにジュエリーを贈りたいと考えたときにどのアイテムにすべきかは悩みどころです。仲間内での恋愛トーク(通称恋バナ)でも『指輪をもらえると思っていたのにネックレスでショックだった』『指輪は重すぎるからピアスにしとこうかな』といったやりとりは定番です。贈り物とはノンバーバル(非言語)コミュニケーションであり、贈ったものが指輪なのか、それともネックレスなのかによって伝わるメッセージは変わります。そのため時々の関係に応じたアイテムを選定する必要があるのです。

プロポーズの時は指輪というイメージは広く定着しておりますが、その他の恋愛ステップではどのアイテムがベストなのかは曖昧です。そこで私が自身や友人の経験談から結論づけたパートナシップ段階別オススメジュエリーをまとめてみたいと思います。

恋のはじまりにはネックレス:恋をブーストさせる色気があるから

もう少しで付き合えそうだったり付き合いたてといった繊細な恋愛初期の贈り物にはネックレスをおすすめします。それはなぜか、端的にいうと『エロいから』でございます(身も蓋もなくてすみません)。

突然ですがここでクイズです。誰もが知る名作映画『タイタニック』『プリティウーマン』『ムーラン・ルージュ』、この3つに共通することはなんだと思いますか?

画像出典:https://video.unext.jp/

正解は“男性から意中の女性にネックレスが贈られる”点です。恋の進展には「タイミング・フィーリング・ハプニング」が必要と古より言われておりますが (昭和臭漂わせてすみません)、このなかの“ハプニングを起こす力”がネックレスにはあるのです。意中の相手にネックレスをつける/つけられるという行為には絵になる程の濃密な色香が漂います。ち、ちかっ!(赤面)というやつです。さらにネックレスであればお相手がそれを身につけている様をよくみることができるので、恋愛初期の飢餓感を満たす効果もあります。シドに南京錠を贈ったナンシーの独占欲には少々腰がひけてしまうものの、自分の欲にドライブされている恋愛真っ只中に自分が贈ったものを相手が身につけてくれているのを見るのは、受け入れられた感じがして嬉しいものです。

※一つだけ注意点が。意中ではない相手からネックレスをつけられるというのはサブイボが立ってしまいますので、事前に承認を得ることをお忘れなく。性的同意の時代!


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話はそれますが、『タイタニック』には「ハート・オブ・オーシャン」と名付けられた巨大ブルーダイヤモンドのネックレス、『プリティウーマン』にはFREDによるハートのルビーネックレス、『ムーラン・ルージュ』には総計134カラットのダイヤモンドネックレス「サティーン」が登場します。これをもらったら硝子の少年には申し訳ないけど落ちてしまいそう…Stay with me〜🎶 次回こちらの映画をご覧になる際はぜひネックレスにもご注目ください。


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愛のはじまりにはリング:愛とは自律であるから

恋という己の欲望大爆発タームが終わり相手をいたわる“愛”がはじまったと思う時(それは人によってプロポーズかもしれません)、贈りたいのは紛れもなくリングです。

先日友人と『真実の愛とは何か』を議論していてひとつ気づいたことがあります。それは“愛とは終わってからそれだったとわかるもの”だということです。

愛は一度手に入れてしまえばずっと自分のそばにいてくれるという宝石のようなものでは決してありません。自分の限られた気力体力というリソースを割いて常時メンテナンスし続けてやっと花となる、育てるのが難しい植物のようなものなのです。愛の渦中においては「あぁ…疲れてるけど今日も水上げなきゃ…てか台風!?いますぐうちの中入れなきゃじゃん!!やば!虫ついてる!!」と勤労の連続でロマンチックでもなんでもございません。そうやって必死に日々を過ごし、死であれなんであれ別れの時にひとり振り返ってやっと、それが愛だったのかどうかわかるのだと思います。哲学者エーリッヒ・フロムも名著『愛するということ』にて「愛には技術が必要」と明言しています。私の人生を変えた名著のうちの1冊です。気になる方はぜひ。

タフな休みなき愛という名の自律を支えてくれるのが“ふとした瞬間に自身の目に入るリング”というわけです。目に留まるたびにあの時の決心を思い出す、そんな効果が指輪にはあります。私はこれからあなたと一緒に手入れがクソめんどくさい“愛のタネ”を育てる覚悟をしましたと伝えるのに、これ以上最適のアイテムはございません。

命のはじまりにはスタッズピアス:多忙なママの救世主だから

命のはじまりとはつまり新しい家族が増える出産を指しています。出産祝いというと赤ちゃん向けのものというイメージが強いですが、欧米では出産したパートナーにジュエリーを贈る習慣『プッシュギフト』があります。

画像提供 https://www.rct.uk/collection/themes/exhibitions/victoria-albert-art-love/the-queens-gallery-buckingham-palace/bracelet

こちらはイギリスのヴィクトリア女王に夫アルバート公が出産時に贈ったブレスレットです。その後子供を産むたびにハートのロケットが追加で贈られたそう。アルバート公のジュエリーを贈るセンスは卓越しておりますのでご興味ある方はぜひ調べてみてください。

女王にはブレスレットでしたが、私が現代のママのために拳を付き上げておすすめしたいのは質の良いダイヤモンドやパールがあしらわれたスタッズピアスです。先述のネックレスやリングとは違ってエモさはかけらもない現実的な理由で恐縮なのですが、ピアスの機能が現代の多忙なママに最高にフィットするからなのです。まずはこちらをご覧ください。

ベイビーのかわいい小さなおててで豪快に引き千切られたネックレスでございます。大好きなママの顔の周辺でキラキラ光る物体はベイビー達にとってこの上なく魅力的であることでしょう。ネックレスや揺れるピアスに待ち受ける未来は破損一択。中にはロングピアスを引っ張られて耳たぶが切れたという事例もあるようです。では指輪はどうかというと、ふとした瞬間に赤ちゃんを傷つけてしまいそうで怖いですし、隙間なく発生する水仕事のたびにつけ外しするのは現実的ではございません。

このように小さなお子様を持つママが日常的に身につけられるジュエリーというのは非常に限られます。ですがスタッズピアスであればベイビーの手も届きづらく、また不注意でベイビーを傷つけるリスクもございません。子育て時に唯一つけられるジュエリーといっても過言ではないでしょう。

さらにピアスには顔周りを明るく見せる効果があります。出産後のママは自分に手をかける時間があまりありません。お出かけ前にメイクをしようとした瞬間に爆大うんちでおろしたてのお出かけ着がカレー色に…などあるあるです。とはいえ一歩外に出れば少し前の自分のようなキラキラした女子達が闊歩しており、どんなに子供が可愛くても自分の疲れ切った姿に悲しくなってしまうこともあるでしょう。ヒールも履けない、授乳があるから自由に服も選べない…そんな時にダイヤモンドやパールなどの上質な一粒ピアスはさっとつけるだけでパッと華やかな雰囲気を醸し出してくれます。「大丈夫、私ちゃんと素敵だ。」、そういう小さな自信はママに笑顔を取り戻してくれます。

パートナーが出産を控えていらっしゃる方、命をかけた出産への賛辞として、上質なスタッズピアスを贈られることをご検討されてみてはいかがでしょうか。出産・育児は子供が可愛い以外のわかりやすい報酬はありません。やってみないとわからないことですが、フィートバックも昇給も出世もないなか、何かを頑張り続けるのは本当に辛いものがあります。失敗すると最も愛するものが死ぬ限界ルールの未経験ジョブに真摯に取り組む愛する人に、ぜひ目にみえる賞賛をお願いいたします。

以上、パートナーにジュエリーを贈るならどのアイテムがいいか、私の意見を綴ってみました。ジュエリーとはセンチメンタルでパーソナルなもの、この世に便利なプロダクトはたくさんあれど、やはり私はパートナーからの贈り物はジュエリーが素敵だなと思うのであります。愛が終わったときにひとりジュエリーボックスを開けるとそれまでの思い出が並んでいる…、そんな日を楽しみに今日も愛の種にせっせと水を注ぎます。